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新釈 現代文 (ちくま学芸文庫)

新釈 現代文 (ちくま学芸文庫) 高田 瑞穂
人気ランキング : 7579位
定価 : ¥ 1,155
販売元 :筑摩書房
発売日 : 2009-06-10
発送可能時期 : 在庫あり。
価格 : ¥ 1,155
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今は教養書として読むべき

 受験参考書の名著の復刻。
 「論の展開を正確に『追跡』して論旨を把握すること」という「たった一つのこと」を目指した一冊。そこには「人間主義」「合理主義」「人格主義」を柱とした近代社会を生きる若者たちを育てたいという教育的目標と愛情とが貫かれている。いわば現代社会のリテラシーといえよう。
 穏健かつ誠実で、真の知的な姿勢の育成を目指したものだ。ただし、現代の多くの受験生に対して、受験参考書として与えるのは大いに注意が必要だ。本書はの解説は決して不十分ではないが、今日の多くの受験生にとっては、解説がより懇切丁寧な現代の参考書がよいだろう。
 本書は受験を終え、のびのびと教養を求める人々に向いている。

たったひとつのこと

たったひとつのことについて、しかし徹底的に書かれています。
それを知るために読んでいるうちに、現代文が好きになるかもしれません。

あつかっている題材がつまらない

著者が意図的に選んだのか、当時の出題傾向がそうだったのか、とにかく評論の文章問題ばかりが収録されています。
そのため、興味をひかれるような当時の時事問題や、名文を味わえるような小説や随筆などがほとんどなく、期待はずれの内容でした。

収録されている評論自体も、 「学生はこうあるべき」、 「人間はかくあるべきだ」 といった平板で観念的な精神論に終始しているものが多く、 「好きだから、楽しいから学問を行なう」 といった伸びやかさは、むしろ悪者あつかいされそうな窮屈さがあります。

問題 【一】
「諸君が学校にはいるのは世間と隔離された温室の中でひ弱な花を開くためではない。他日大木となって社会の暴風雨と戦うべき不抜の根を確かに地中に張るためである」
「すべての学生が皆自分は未熟者であるという事実を明瞭に把握するならば、学生生活はもっとずっと緊張した、活気ある、純潔な、無邪気なものとなるであろう」
問題 【十】
「与えられたるものを如何に発見し、如何に実現すべきかは人間の問題である」
「試練の一生においては (中略) 総ての個人が皆同一の運命を担っているのである」
問題 【十一】
「この世界にあっては、各の個人が、その与えられたる天分に従って、それぞれ、かれ自身の価値を創造するのである。そうして、この創造によって、人間としての意義を全くするのである」
問題 【十七】
「実はあらゆる学問は 「人間的智恵」 に外ならず、 (中略) 「智恵」 以外のすべてのものは、それ自身によってよりもむしろこの智恵に寄与するところがあるが故に尊ぶべきものだ」

こういった主張を、そのとおりだと受け入れられるか、それとも、文章を読みながらさまざまな疑問を感じるかで、本書に対する印象は180度違ってくるでしょう。
とくに、これらの主張を開陳している当時の著者たちには、先の戦争では自己の理想とどのように向きあったのか、はたして自身反省すべき点や恥ずべき点はないのか、そのあたりを問い質してみたい気がします。

本書の指導する読解のポイントは、読むがわの勝手な解釈をはさまない点や、書かれていることだけを忠実に読み取るなど、役にたつ点もありますが、いかんせん、収録されている文章の質が悪すぎます。
「悪文」 の代表格とされる冗長な逆茂木文が多いうえ、現在では批判の対象となるであろう、古い人間中心主義 (ヒューマニズム) や人格主義礼讃の文章ばかりが目につきます。
熱心に 「追跡」 し読解することにより判明するのが、 「なあんだ、ずいぶんと底の浅い内容だなぁ」 というのでは、次第に嫌気がさしてもしかたないでしょう。

おそらく、本書の問題にあてられたこうした 「つまらない文章」 の多くは、現在、ほとんど顧みられることなく忘れ去られているはず。
その証拠に、本書巻末にはつぎのような注記があります。
「初版刊行が古く、問題文の書名・著者名の表示もないため、入試問題に使用した大学のご協力をいただいてもなお典拠と著者が判明しない文章が残るまま、刊行せざるを得ませんでした」
要するに、入試問題に使用した大学側でも忘れ去られ、すでに誰がいつ書いた文章なのか判らなくなっているというわけです。

国語の参考書にも、優れた文章との出会いを求めるような人には、 『規範国語読本』 の一読をオススメします。

名著

解説はわかりやすく構成はシンプルである。
作者と読者が問題意識を持つことによって共有できる論理の感覚、「内面的運動感覚」を頼りに文を丁寧に「追跡」していけば現代文を正しく読解することができる、というのが本書の要旨である。扱っている題材とその主張は少し古いが、多くの入試現代文の問題を丹念に解明していく論理構成には引き込まれるものがある。

私が受験生だった頃、理科系であったが二次試験に国語が課されていたため、合格体験記に紹介されていた本書を購入した。当時はまともな現代文の参考書は少なく、現代文の問題は丹念に論理的に考えていけば解けるものなのだということを初めて示してくれたのが本書であった。

懐かしい・・・・

本書は30年近く前、評者の育った県下で当時の高校NO.1スプリンターだったNクンに勧められて購入したのだった。結局、そのときは読み終えなかった。N君はセレクションで上の学校に進んだのか、一般入試で高偏差値大学を突破したのか、それは不明である。
読まなかった評者は、志望の学校へ行けず・・・。この点、本書を褒めるのが多くの40歳以上の善男善女であるという先行レビュアーの言は、多分当たっているだろう。

とまあ、そんなことはどうでもよい。
学参のよしあしのあれこれに就いて、評者は云々する眼力を持たないが、懐かしさもあって今回初めて通読した(親本はいまも実家に残っているはずだが)。
現代文攻略の方法論の優劣と言うよりも、採用されている文章のレベルの高さになるほどね思いつつ、今日びの社会人が読むビジネス本ですら、このレベルのものはないなあと感慨に耽るのであった。

今更ながらにロングセラー化している外山滋比古の啓蒙書をも思い出した。ロジックという点では、なかなか優れたものだと思うが、いかがだろうか。
オススメもケナシも出来ないので、☆3つ。

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