サイトトップ>>本>>魂の民主主義―北米先住民・アメリカ建国・日本国憲法
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星川 淳 人気ランキング : 159004位 定価 : ¥ 1,575 販売元 :築地書館 発売日 : 2005-06 発送可能時期 : 在庫あり。 |
この仮説は、この重いテーマをどこまで支え続けられるか この本にはユニークな仮説が提示されている。それは、北米先住民の自然共存平和主義的な社会原理の中に、現代国民国家の欠陥を修正を可能にする原理が含まれていて、それはアメリカ建国に関係し、引いてはアメリカを媒介として日本国憲法にも影響を及ぼしているというものである。
この説は、西欧近代国民国家の現実が呈している不条理に対抗するいくつかの考え方の一つとして興味ある視点ではあると思う。だが、まだこの著述だけからはまだ説得力のある思想は見えて来ない。史実としても数ある中の一つの契機としてしか捉えられない。
日本の平和憲法の捉え方としては一つの見識としては賛成できるが、北米先住民の思想が関係しているからその根拠が強化されたというほどには読み取れない。ジャーナリズムは契機を与えればよいとの考えならばそれも良いが、それではこのとても重いテーマを支えきれないだろう。
非常に独創的な心想が開陳された書物であるが、先ず著者の星川淳氏の“正体”を明らかにしておくと、星川氏は、“鯨好き”な日本人の敵(笑)、かの悪名高き(!)グリーンピース・ジャパンの事務局長を務めている。環境テ×××ト集団というより文化帝国主義者の巣窟、さらに“地球温暖化”論者並みの“胡散臭さ”を放つ、このクレージーな団体の評価は別として、当書自体は著者独特の視点を持って書かれている。特に、日本人には馴染みのない11世紀後半に創建されたという北米「イロコイ連邦」と、「アメリカ合州(衆)国」建国の関わりについては傾聴に値するような所見を披瀝している。
さて、「イロコイ連邦」とは“ピースメーカー(男性)”の尽力で誕生したオンタリオ湖南岸のイロコイ5部族による平和同盟を端緒としている。そして、彼は117項目のルール=「大いなる平和の法」(イロコイ憲法)を決め、新社会を母系中心とし、独特の“母権民主制”を確立したのであった。この「連邦」は、独自にパスポートを発給するなど、「現在もアメリカ国内の準独立国として認知」(本書p.22)されているらしいが、その成立過程や連邦の運営などに関しては本書を味読してもらうこととして、ここで是非とも触れておかねばならないのは、合州国建国との絡みであろう。
すなわち、「フランクリン、ジェファーソン、ワシントンをはじめ『建国の父祖』と呼ばれる人びとには、先住民たちから本気で国づくりの指針を学ぼうとする意思」(同p.43)が窺え、「事実、憲法制定会議では、先住民の政治制度から何を学ぶかについての熱い議論」(同上)が闘わされていたのである。その結果、細説しないが、合州国憲法には「大いなる平和の法」の影響がかなり見られる、という。確かに、北米への移住者たちが独立に際し、宗主国・イギリスの政治的伝統への「対抗軸」「新機軸」として「一番身近な生きた代案」(同上)をインディアン〔注:表現は当書に従う〕社会から取り入れたことは、むしろ慧眼であった、と考える。終わりに、次の言葉で締め括ろう。
とにかく、性別にも人種にも関係ない正真正銘の自由と人民主権なんてものは、ヨーロッパ人がアメリカ大陸へやってくるまで見たことがなかったんだ。ヨーロッパが民主主義を議論していたとき、我々はとっくにそれを実践していたのさ―ジョン・モホーク(セネカ族の歴史学者)本書p.59
※ 本書(初版)は〈戦線布告→宣戦布告〉等、所々誤字が散見され、また、副大統領は「上院議長」を兼ね、「下院議長」ではないことなどに注意が必要である。