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同和と銀行 三菱東京UFJ“汚れ役”の黒い回顧録 (現代プレミアブック)

同和と銀行 三菱東京UFJ“汚れ役”の黒い回顧録 (現代プレミアブック) 森 功
人気ランキング : 681位
定価 : ¥ 1,785
販売元 :講談社
発売日 : 2009-09-04
発送可能時期 : 在庫あり。
価格 : ¥ 1,785
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ヤクザを仕切り、政財界の大物を牛耳り、銀行を手玉に取っていたこの小西の最後の姿を見ると、バブルの宴に酔ったこの国の今の姿と重ね合わされてしまう。

まだ記憶に新しい飛鳥会事件の被告である部落解放同盟幹部小西と、三和銀行の「汚れ役」をしていた岡野との長年にわたる付き合いを、主に岡野からの聞き取りからまとめ上げた記録である。

 あのバブルの真っ盛りのどこか狂乱していたこの国の姿が見えてくるが、こんな時代は今からみると実に滑稽でさえある。

 それにしても、同和という隠れ蓑を使って、この小西という人物は政財界の大物と渡り合いながら、多くの利権を手にしてきたものだと驚嘆させられる。
 周りの人物たちも、腫れ物に触るように扱ってきたのだから、これを近代国家と言えるのであろうか。

 著者は、銀行側も小西をうまく使ってきて、最も利益を得たのは銀行であるとしているが、いまや見る影のない三和銀行をみるとこの説には疑問である。

 ヤクザを仕切り、政財界の大物を牛耳り、銀行を手玉に取っていたこの小西の最後の姿を見ると、バブルの宴に酔ったこの国の今の姿と重ね合わされてしまう。

狂気乱舞なアングラ勢力図

1983(昭和58)年10月から逮捕された2006(平成18)年5月までの小西邦彦を、三和銀行の盾になった岡野義市から見たアングラ勢力図。
警察の調書で小西は、三和銀行行員から悪者に仕立てられ、岡野も銀行という組織に利用された元行員だが、岡野自身は銀行に利用されたと言われることは最大の賛辞だと著者森に言い切った。
銀行に高卒で入行し、東大や一ツ橋でも役員には簡単になれない業界で、出世街道を駆け上がってきた叩き上げの行員が、銀行の汚れ役として覚悟を決め働いた回顧録は、利権で蠢く人だけでなく組織とバブルという時代も重なり狂喜乱舞の世界だった。

高度経済成長期からバブル景気の陰でのひとつのアンダーな関係。

刺激的なタイトルである。
日本の社会に於いて、金融界の中心に位置し堅実で光輝く存在と、歴史の暗部によって否応なしに産み落とされた暗黒で闇の存在。ある意味並列に鎮座する事が場違いに思える両者間のアンダーな関係。「月刊現代」誌に掲載されたモノを加筆修正したと言うが、かなり文字が大きいし読みやすいものの、正直硬派でヘビィな題材にしては軽く見える。いっそ新書版にすれば良いのにと感じながら読み始めた。
かたやエリートが闊歩する大手都銀の中で商業高校卒の田舎者、かたや幼少時の不条理な貧困を経て、アウトローの世界に身を寄せる一方で部落解放を唱える運動家。被差別、劣等意識を沈潜させながら、それをバネ、肥やしにして、自らの才覚でのし上がって行ったふたり。
飛鳥会事件のみならず、イトマン事件、許永中、尾上縫、山一抗争に国税局と解放同盟の密約、検察のタニマチまでが赤裸々に語られ、地上げ、同和対策事業、闇社会への迂回融資、銀行と裏社会とのアンダーで緊密な複雑怪奇な関係が曝される。政官財界に独自の太いパイプを持ち、銀行をも怯えさせた“大物”との折衝役として危ない橋を渡り、積極的に関与していく事で評価を上げていった銀行側の当事者の証言だけにリアリティがある。
栄華の頂点から奈落の底へ、ビジネスとして、結局銀行(会社)に利用されるだけ利用されたとも思えるふたり。それぞれに生きてきた軌跡は違えども、その生き様が、戦後日本の高度経済成長期からバブル景気を駆け抜けた者たちの善悪を超えた一片の断片として見えてくる。

バブルに狂った巨大銀行に翻弄されたフィクサーと汚れ役

 これは三和銀行による、凄まじいまでの癒着と裏切りの履歴ではなかろうか。読了して自然とそう思えた。
 同和利権を貪る者の横暴は「同和利権の真相〈1〉 (宝島社文庫)」シリーズ、「大阪同和帝国の正体 (宝島SUGOI文庫 A い 1-6)」などで明らかにされているが、その中でも小西邦彦は大手銀行・三和に食い込み、莫大な金を動かしてきた。彼と銀行を繋ぐ「汚れ役」として着任した岡野義市は、「聞き返すな」「担保の話はするな」など、無茶な条件の中で同和のボスの懐に飛び込んで行く。
 読み始めた当初、小西は裏社会に通じた悪徳フィクサーという印象だったが、岡野本人の証言を交えて語られる中、同和のドンに不思議な魅力を感じ始める。金融業が言語道断の取引を続けているにもかかわらず、三和銀行もまた、この小西と岡野のパイプを利用して利権にあずかる様が浮かび上がってくる。
 表と裏の世界を遊泳する銀行も同じ穴のムジナなのだと理解が進んだところで、バブル崩壊と飛鳥会事件によってこれまでの歪みが露呈する。そこで旧三和銀行が保身をはかり、小西を切り捨てる。岡野の耳に残る小西の嘆き(カバー折り返し)は実に象徴的で、心に刺さるものがあった。しかしこの裏切りでさえも、銀行にとっては想定していたシナリオの一部だったという。
 著者の本をいくつか読めば、日本の企業社会・経済は、エスタブリッシュメントと裏社会が渾然一体となって作り上げてきたことが伝わってくる。そこに真の意思決定・社会構造があるという。本書でもその一端を垣間見ることができるだろう。
 その事実には愕然とせざるを得ないが、丁寧な取材とともに実態を鮮やかに描いた本書は、読者を一気に引き込んでいく面白さがある。270ページを長いと感じることはない。実に優れたノンフィクションである。

これは銀行暴露本の類いではなく、日本の金融史の衝撃的な記録である。

 銀行員生活の後半の20年以上のほとんどを、たった一人の裏社会の大物との交流と、それを通じた銀行サイドの汚れ役としての仕事で費やした一人の銀行員。
 彼が著者のインタビューに答えて語った内容は、なんとも正直で誠実で、しかるがゆえに赤裸々な告白になっています。
 そこにはいまさらながら驚くべき真実が明らかにされています。
 大阪の戦後経済や社会構造に潜む同和問題や暴力団、裏社会の厳然たる勢力図。
 それら闇社会が、大阪府や市、警察、検察、国税局、そして大銀行といったおもての権力と切っても切れない複雑で込み入った癒着関係を維持し、それを公然たる秘密として隠蔽してきたという長い歴史・・・
 それにしても、なんと多くの複雑怪奇で根の深い、大阪の政治や経済の問題の本質が、そこに見えることでしょう。
 しかも、普通のまじめなサラリーマンが、普通に清濁併せのんで、世の中の仕組みの中でたまたま自分に与えられた役目を果たしただけとも見える、その日々のごく日常的な出来事の折々に、世間を驚かした大金融犯罪やバブル時代の恐ろしい事件が、いくつも起こっていた・・
 本書は、あまたある銀行暴露本や金融スキャンダルの裏側解説本ではありません。
 日本の金融の本質に潜むいまだ誰も解答を見いだせていない、実に重たい難問を、あらためて突き付けるような大変な問題提起を投げかけています。

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